Interview株式会社Z-Works

センサー×AI見守り「LiveConnect Facility」

今回ご紹介いただくサービス「Live Connect Facility」はどのようなものですか。

小川:一言で言うと、ケアワーカー(介護職員)の見えないところをなくす介護の見守りシステムです。ベッドに寝ている入居者だけではなく、居室のドアの開閉、トイレの利用など、複数のセンサーで危険を検知することで、事故を未然に防ぐことができます。

もう少し詳しく教えてください。

小川:事故防止に加え、ケアワーカーの作業の効率化にもお役立ていただけます。例えば、夜間の施設内巡回による安否確認は、ドアを開けることで入居者を起こしてしまいます。居室内に設置したバイタルレーダーにより、入居者の安眠を妨げることなく、遠隔からの安否確認が可能です。また、ケアステーションなどに設置したモニターに表示される管理画面から安否確認することで、夜間巡回の頻度を減らし、ケアワーカーの負担軽減になります。

センサーなどどのような技術が使われていますか。

小川: マルチセンサーにより入居者の状態をリアルタイムで確認できます。センサーが取得したデータから、入居者がベッドにいた時間やトイレの回数などが把握でき、また、ケアワーカーの作業の可視化もできます。蓄積されたデータをクラウドで解析することで、おむつ交換などの介助のタイミングや入居者の安眠を妨げない巡回など、現場の労働環境を改善していきます。

競合製品と比べて、どのような特徴がありますか。

小川:離床センサーはたくさんありますが、ベッド横に敷くマット型のものは、入居者の方が勝手に外してしまうケースや、ベッドに腰を掛けて足を下ろしているだけで、センサーが鳴りっぱなしになるケースがあります。Live Connect Facilityのセンサーは、入居者に合わせて閾値の設定が可能です。例えば、一人でトイレに行くと危ない方には、離床しただけでお知らせするように設定しています。一方で、自立して歩行できる方には、15分部屋にも戻らないとお知らせするなど、部屋ごとに設定できます。ベッドから足を飛び出していても、センサーが反応するので、ベッドから転落する事故が起きる前に、部屋に駆け付け対処できます。また、熱中症対策となる温度センサーは24時間管理し、ドアの開閉センサーについては夜間だけお知らせしてほしいというように、時間帯別の設定も可能です。

開発のきっかけを教えてください。

小川:センサーを使ったIoTの実証実験は、長年携わってきましたが、日常の生活を便利にすることよりも、本当に必要としている分野でIoT技術を活用したいと思いました。私自身の在宅介護の経験から、今まで見えていないところが見えるというだけで事故を未然に防ぐことができると思いました。

開発にはどのくらいかかりましたか。

小川:起業前からスマートホーム向けに温度やドアの開閉、人の動きを感知する仕組みは作っていましたが、2015年に、本格的に介護向けのサービスとして開発に着手しました。2018年夏に発表しましたが、現在も開発は続けています。

使いやすさのために工夫した点を教えてください。

小川: ケアワーカーが見る管理画面は、できるだけシンプルな表示にしています。使用する色を3色までにとどめ、入居者が離床したときなど行動を検知すれば、赤く点灯しケアワーカーにお知らせします。

どのような介護施設で利用されていますか。ターゲットを教えてください。

小川:介護施設は、全国でおよそ4万6000カ所あり250万人ほどの高齢者が生活しています。まずはそこがターゲットになります。夜勤の時間帯は、一人のケアワーカーが20部屋以上を担当することもあり、施設が広いと導線が長くなってしまいます。介護施設は、介護保険制度ができた20年ほど前に建設されたものが多く、入居者が増えたため渡り廊下でつないで増築している施設もあり、どうしてもケアワーカーの死角ができてしまいます。このような施設でLive Connect Facilityを導入することで、事故防止や業務改善にお役立ていただいています。

導入時のサポートはどのようにされていますか。

小川: 3か月のトライアルプログラム(有償)をご用意しています。日々の介護業務にどのように取り入れるか、入居者に合わせたセンサーの閾値をどこに設定するかなどを、私たちも一緒に考え、ワークショップを開きサポートしています。製品を売って終わりではなく、介護現場に定着させることが重要です。事故防止の観点だけではなく、センサーから取得したデータを活用して、日々の業務オペレーションや人員配置を変更するなど業務改善も支援します。実際の業務に取り入れると、管理画面をケアステーションで見るだけではなく、オムツ交換の際に、ワゴンにタブレットを付けて確認するなど、施設に合った運用方法がでてきます。

サービス利用者からの声で特にうれしかったものを教えください。

小川:「入居者の方がベッドから落ちそうになっていたところ、センサーが感知し知らせてくれたので、転落事故を未然に防ぐことができた」という声をいただきました。入居者を抱き上げベッドに寝かせるというのは、一人のケアワーカーではできません。また、「一人の入居者のお世話をしているときに、他の部屋での状況を把握でき、死角がなくなることで、安心して作業できる」との声もいただいています。なにか物音がしたときに、どの部屋で起こったか、一部屋ずつドアを開け確認しなくても、画面上で確認でき、すぐにかけつけることができます。入居者のご家族からも重大事故防止になっていると喜ばれており、センサーによる見守りは安心につながっていると思います。

追加したい機能やチャレンジしたいことを教えてください。

小川:今後は、カメラや画像認識の導入も必要になると考え、開発中です。また、利用者様から、「レイアウトを変えたい」「誰でも簡単に設定できるようにしてほしい」というリクエストをいただいています。今のシステムが完成形ではなく、ケアワーカーが使いやすいようもっと工夫していきます。

今後の展望について教えてください。

小川:介護の基本は、「人」です。おむつ交換や食事の介助などロボットでは代われないお世話があります。介護記録などの事務作業は、センサーを活用することで、ケアワーカーの負荷を減らすことができます。ケアワーカーは、入居者のお世話など「人」じゃないとできないことに専念してもらい、その他はテクノロジーでカバーするというのが理想です。介護業界は離職率が高いと言われていますが、このサービスを通じて、働く人の定着化にも貢献したいです。

Interviewee

小川 誠(おがわまこと)
株式会社Z-Works 代表取締役 共同経営者

昭和46年11月14日生まれ。千葉大学工学部機械工学科を卒業後、シリコンバレーの海外半導体メーカーに20年間勤務し、日本市場の開拓に従事。無線技術Z-Waveの普及にあたりエバンジェリストとして活躍。国内外の大手メーカー各社やサービスプロバイダーとの強力なリレーションシップを築く。自らの介護体験を活かして、ヘルスケアIoTで社会課題の解決に取り組む。

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